Living Ainu Traditions: Tahachi Urakawa Age 80-Gallery Esse, Sapporo
- exhibition venue
- Gallery Esse, Sapporo
- period
- 2021/08/03 ~ 2021/08/08
- en
- jp
Living Ainu Traditions: Tahachi Urakawa Age 80
Gallery Esse, Sapporo
August 3-8, 2021
浦川太八、80歳
ニシカワヨシエ
わたしは、1996年よりイタリアに住む。5、6年前のミラノ総領事館主催のパーティーに出席していた時のこと。居合わせたイタリア人女性に出身地を聞かれた。
「北海道です。」と答えると間髪入れず「それではあなたはよくアイヌ文化をご存知ですね?」、返す言葉が見当たらなかった。
それを期に、なぜかわたしの心の中には、「アイヌ」が住みだしたのであった。
なにを知りたいのか、なにに触れたいのか?
ヨーロッパの博物館には世界の歴史文化パビリオンが常設展でよくある。日本館を見ると例えば甲冑、刀、焼き物、漆、を筆頭に、そしてそこには、必ずアイヌ工芸品も収められている。
世界では当たり前のように受け止められている日本の歴史と文化なのだ。
アイヌ文化、それは私にとって世界の他の先住民民族と同じくらいあまり馴染みのないものであった。
本を読む、ネットでと、リサーチを気の向くままにはじめた。
そして2021年、ありがたい事にご縁と巡り合わせで、日高に、浦川太八さんを訪ねた。
浦川太八、80歳。
日高で、漁師でもあり狩猟師でもあり、山菜採りの名人でもあり、料理人でもあり、工芸家である。
自給自足をまさしく可能とする稀な現代人である。
コロナ禍において、世界は流通による感染を恐れ、行動範囲縮小を余儀なくされた。カオスがカオスを生む。負の連鎖。
彼は、そんな中でも、きっとそう大して日常は変わらなかった。
彼の世界はそれだけ満ち足りた自然界の法則で成り立っている。
わたしは、そんな彼のヒューマンスケール最小限最大限のフィロソフィーに触れたいと思った。